引越し

pajama_toriya2005-03-17

 何日か前、知り合いの引越しの手伝いをした。なんとお駄賃として1万円はいただけるという話。
齢29にして現在携帯電話の料金を滞納し止められている体たらくなわたくしパジャマとりやには、正に天の助けである。ちなみにボーダフォンなので受信はできるのが救いです。
人手が2人必要との事だったので、一見ヒトそっくりな形をしているが本当は別の生き物である絶交中(詳細は3月7日の日記にあります)の「トモダチ」アッハー小泉を誘った。
集合場所は埼玉県の飯能市という未知の世界。朝10時に飯能駅集合。
かなり遠いのでそれを聞いて脳味噌が煮える。
気の利いたわたくしパジャマとりやは前日の夜、アッハー小泉に電話を入れる。
もちろん公衆電話から。
アッハー「もしもしおはようございます。」
パジャマ「こいちゃん明日10時に飯能やけど大丈夫?」
アッハー「大丈夫です。わざわざ気を遣ってもらってありがとうございます。」
パジャマ「新宿からは1時間かかるから、逆算してもこいちゃんは朝8時には家を出ないと間に合わへんから7時半には起きるの!わかった?」
アッハー「わかりました。明日宜しくお願いします。」
パジャマ「うん。ほな明日駅に着いたら電話して〜。死ね!!」ガチャ
完璧だ。手伝いとはいえ、お金を受け取るので、わたくしパジャマとりやはこれを「お仕事」として捉え、責任感が湧いているのであります。
目覚し時計と携帯のアラームを合わせ、明日に備えた。
次の日午前10時、飯能駅改札近辺にアッハー小泉の姿は皆無。
わたくしパジャマとりや、怒りのあまり脳味噌が煮える。
すぐさま携帯を取り出し、アッハー小泉に電話をかける。すると冷たい女の声がした!
女「こちらはボーダフォンですお客様の電話は現在ご利用を制限されていますこちらはボ」ガチャ!!
忘れていた。すぐさま切り散らかし、ポケットをまさぐり、テレホンカードを出す。しかし、残り度数が2。駅の売店のお姉さんに
「テレホンカードをくれ」
なる旨を伝えるも、わたくしの左手には携帯電話が握られている。
不審な表情をされてしまった。まるで
「今は21世紀ですけど?」
とでも言いたげな顔だった。わたくしのモバイル状況は未だ20世紀なのだよ!!
公衆電話からアッハー小泉に連絡を取る。
出ない。何度かけても出ないのである。
その時、メールが来た。もちろんアッハー小泉からだ。
「すいません。40分程遅れます。」
40分。待つのは長いが家で眠っていないだけ良かった。ついでに言うと、芸人の世界では遅刻する事を「トチる」と言います。
先方に電話を入れ、合流してから行く事を伝え、ひとりミスタードーナツフレンチクルーラーなるスイーツに舌鼓を打つ。
この際とばかりにヤングマガジンなる若者の書物も購入。読む事にした。
稲中卓球部」や「僕といっしょ」でおなじみ古谷実先生の「シガテラ」、「バタアシ金魚」「鮫肌男と桃尻女」の望月峯太郎先生の「万祝」(まいわい)、宮下英樹先生の「センゴク」、松本光司先生の「彼岸島」や平本アキラ先生の「アゴなしゲンとオレ物語」など、読み応えのある作品が多い。かなり集中して読んだ。因みにわたくしパジャマとりや、心の中の5割をマンガが占めております。みんな、もっとマンガを読もう!
時刻を見ると11時を回っている。何をやっているのだ。
もう怒る気も失せたわたくしパジャマとりやは、1人引越しを手伝うべく先方に連絡。
早速ダンボール箱をせっせと運び出す。
荷物を運び出し、新居に入れ、一息ついた。
時刻は12時15分。何たる有様!
ここで家主の車が到着。わたくしは我が目を疑った。
助手席にアッハー小泉がチョコリンと座っているではないか。
彼の「40分」というのは私達の時間感覚で言うと135分らしい。
何故電話をしないのか??
車から降りるなり土下座をし、
アッハー「殺して下さい」
というその姿勢に免じてというか、すでにわたくしには責める気力も無い。
というか体力が無い。慣れない荷物運びで腕がパンパっているからだ。
そして、アッハーの到着と同時にお昼ごはんとなった。
腹が減っていたのであろう。しこたま食いちらかしているではないか!
部屋に入り、家族の方が来られた。
挨拶もそこそこに梱包された箱をを開けていく。
アッハー小泉はしゃかりきに頑張った。
するとどうだろう。彼の遅刻など一切知らない家族の方達が口々に言う
「小泉さんは頑張るわねぇ」
と。そりゃあそうだ。彼のHPはMPと共に満タンなのだから。
反対に、わたくしの評価がうなぎ下りしている音が聞こえるかの様だ!!
こんな時はどうすれば良いのか。その術をわたくしは知らない。
隅で静かにテーブルなんぞを組み立てていたわたくしとは対照的に、
アッハーの回りには笑い声が絶えない。
何だったら長男の人とちょっと仲良くなってまでいる!
アッハー「え〜!犬飼ってるんですか〜?」
長男「もうすぐ母が連れてきますよ」
アッハー「僕、ホントに動物が大好きなんです!」
長男「じゃあ、散歩お願いしようかな?」
アッハー「え!いいんですか!!やったぁ!」
和気あいあいである。
アッハーは「いってきま〜す」などとわたくしには目もくれず、すっかり家族の一員気取りで出て行った。
しばらくこつこつと作業した甲斐あって、ここでわたくしの頑張りが認められた様だった。会話も弾み、楽しく作業が進んだ。
全てのダンボールをまとめ、ゴミを集め、大きな物は配置を終えた。
家の人が言う。
「じゃあ、この辺で終わりにしましょうか」
そろそろ薄暗くなってきた。
ただ、アッハー小泉がまだ犬の散歩をしている。長い。もう30分は経っている。
電話を借り、アッハー小泉に電話をする。
アッハー「はい。」
パジャマ「こいちゃん長い。長い長い。帰って来て。終わりだから。」
アッハー「あ、ハイ。あの、ここどこですか?」
パジャマ「!」
驚天動地の事実!!今年26歳にして迷子になると誰が予想できたであろう。
彼には知らない土地で出歩く時の基本中の基本、「帰り道を覚える」というアビリティーが備わっていないのだ!!一体何がしたいのだ??遅刻と迷子?これは何かの嫌がらせか?
とにかく迎えに行かなければならない。
とりあえず土地勘の無いわたくしは家の人に事情を説明し、電話を代わってもらった。
長女「もしもし、今、何が見えます?」
アッハー「えーっと、・・・ピピが見えます」
長女「ピピ?」
飯能に長年住んでいる人達が頭を抱えた。
長女「それ何?お店?何かのキャラクター?」
アッハー「あの、かなり大きくて高い看板です。お店みたいですけど、遠くてよくわ      かりません」
長女「!それピピじゃなくてPePe(ペペ)じゃない?」
PePeを見てピピと読む力で、よくも死なずに生きて来たものである。
そして、飯能ではPePeが一番高いビルである。
つまり、どこからでも見えるのだ!
何と言う阿呆ぶり、そして迎えに行く為に見えるものを聞いているのである。
それで答えたのがどこからでも見えそうなモノである。もはや末期症状だ。
長女「あの、PePeはどこからでも見えるので、もう少し規模の小さいものは     見えます?」
アッハー「あ、すいません。・・・あの、信号と横断歩道があります」
結局、しらみつぶしで街中を捜索。
泣いている小泉が見つかるのはこの30分も後になる。



誰か、アッハー小泉に愛の手を!!



※写真は今日アップダウン竹森さんのバドミントンでアッハー小泉の頭にシャトルが立った奇跡を「動くな!」と命令して撮ったものです。