男の戦い

pajama_toriya2005-03-19

わたくしパジャマとりや、いろいろあって現在トータルテンボス藤田と同居している。家賃は2万円だ。
写真は藤田憲右(29)。とくとご覧あれ。
トモダチと住むのは大変楽しい。宿題的な仕事を終えようやく明け方眠りについた。

早朝にわたくしを叩き起こす大声がこだまする。
藤田「やべえ!おい!おい!起きろとりや!!」
パジャマ「・・・!!ん?(起きて)何?」
何事かと無理矢理目を覚ましたわたくしに藤田は言いのける
藤田「プレステ2の三国志やるぞ!」
パジャマ「・・・・・・」
睡眠不足の中、中国大陸の制覇という野望に向け有能な人材を集めるのに心血を注ぐ。
わたくしパジャマとりや、今は中国の制覇より魅力的な物がある。睡眠だよ。
そんな心の声は届かず、藤田がファンヒーターのタンクに灯油を補給している。
藤田の部屋は常にファンヒーターがフル回転でついているのであたたかい。
おかげで曹操と戦うよりも睡魔との闘いが激化してしまったよ。まさか昼過ぎまで続くとは思わなかったよ。
それにしても藤田は冬の部屋は暑く、夏の部屋は涼しくするのが好きなようだ。
かなり徹底しているようにも思う。

夏真っ盛り、8月の半ばにわたくしパジャマとりやが初めて藤田の家に泊まりに行った時の事である。
藤田はまがりなりにも吉本興業の所属タレントである。
自分の体は商売道具であり、自己管理には常に気を配ってなければならない。
芸人として当然の事である。
しかししかし、彼は眠りにつく時、エアコンの冷房を最強にしたまま寝る。
「18度」で「強」で「連続」なのだ!タイマーもセットせず、ひたすらエアコンはフル回転で部屋を「冬」にしていくのだ。
初めての訪問で何も知らないわたくしパジャマとりや、明け方に凍えて飛び起きた!
体の芯まで冷え切っており、手足には軽いシビレがきている!
こんな環境で暮らしていたら、風邪を引くまで3日もかからないであろう。
プロとしてあるまじき環境作りである!信じられない!
横のベッドでギャースギャースとイビキをかいているヒジキ人間を見た。
何だったら少し心配し始めていたわたくしパジャマとりやは目を疑った。
なんと羽毛布団にくるまっているのだ!
なんという電気代の無駄遣い、なんという反エコロジスト!
そしてなんというイビキのうるささなのだろう!
心配した分怒りに満ち溢れたわたくしパジャマとりやは、自身の快眠と健康の平和を守る為、エアコンを消す動きに出た。
しかし、探せど探せどリモコンが見当たらない。
見つかるのはプロ野球の選手名鑑と、何日分あるんだ?という脱いだ靴下ばかりだ。
もちろんエアコン横の柱についてるリモコンを入れるやつにリモコンは嵌められていない。
ガサゴソ探すわたくしパジャマとりや、とりあえずかけてある藤田の服を4〜5枚もぎ取り、着込んだ。
いくばくかはマシになっただろうか。これで風邪を引く事は無いだろうか。
駄目だ。空気が冷たくなっているので、服ぐらいでは役に立たない。
あ〜寒い。枕が床クラスのヒンヤリ度を誇示しているかのようだ。
これは戦いだ。冷たい戦争だ!負ける訳には行かない。
東京に出てきて7年、息子はこんなところで勝負していますお母さん。さだまさしのおっかけをしている母の事を思いだした。小学生の頃お母さんとコンサート行ったなぁ。2時間のコンサートでさだまさしトークは1時間以上もあったなぁ。ムニャムニャ。
は!!寝てはイケナイ!!この部屋は藤田の家ではない!冬山と考えるべきだ!!
その時、足に小さな箱が当たっているのを感じた。
凍えた手で取ったらそれはマッチの箱であった。
薄い布団にくるまり、マッチに火を点けた。
あったかいじゃないか!
すぐに火は消え、暗くなった。すぐさまもう1本に火を灯す。
あたたかい。夏なのに鍋焼きうどんを思い起こす。
あたたかいのも束の間、やはり消えてしまう。
マッチに火を点けては消え、1本また1本と消えていく。
その姿たるや「マッチ売りの少女」ならぬ「マッチ売りのおっさん」である。
その時、藤田が無意識なのだろう。
藤田「zzzzz・・・暑い。」
うらやましい。
空腹の難民の前でカツ丼をムシャムシャ食べるのと同じくらいの言葉であった。
わたくしパジャマとりやは、本能的に藤田の方へ一歩一歩近づき始めた。
言わずもがな、布団を奪う為である!
米騒動の農民達の気持ちがわかった気がした。これは聖戦である!!
暖かそうな羽毛布団に手をかけ、慎重かつ大胆にめくり上げる。
藤田「ギャ〜スZZZギャ〜スZZZ」
藤田は全く気がつかない!
俺達の勝利は目の前だ!バンザーイ!バンザーイ!
わたくしの心の中の農民達が歓喜の声を上げる!
さあ今、まさに藤田から完全に布団を奪いきる!
やった!やったよ!これで今日から白飯が食える!
その瞬間、信じられないものが視界に入ってきた!
藤田の手にしっかりと握られたそいつの正体は、
リモコンだった!
何ゆえリモコンを抱いて眠るのだ??抱き枕は聞くが抱きリモコンなど聞いた事が無い!すぐさま取り上げ、エアコンを消す。あたりに花が咲いたような気分になる。
そして、あれほどあこがれた羽毛布団が世界で一番いらないモノに変身する。
女性視線で言うところの元彼のようなモノだろう。
やっと安心して眠れる。寝る間際、鼻をかみたくなった。
あれ?ティッシュが無い。
息子の孤独な勝負はまだ中盤だったようです。お母さん。


※写真は藤田と思ったら、石立鉄男さんでした。みんなも藤田と石立鉄男を混同しない様に注意しよう。