藤田の電話

pajama_toriya2005-04-14

 今日は本社でプリプリプリンスでやるトータルテンボスのネタを、作家のビル坂恵(写真)とわたくしパジャマとりやで作るプチ打ち合わせをした。
原案的なモノを作り、後でテンボスと作家で肉付けしたり手術してやっとこさネタになってくるのです。

藤田から着信があった。すぐにかけなおすと、
藤田「後でかける。電話のタイミング悪いんだよっ。じゃな。うい。」
大変一方的な切り方をされ、言い知れない寂しさを覚える。
何たる気まぐれオレンジロードなのか!
電話のタイミングの悪さについて糾弾する権利は彼には無いはずだ!
2年以上前になるだろうか。
こんな事があった。


 トータルテンボスが雑誌の仕事で、ホストを体験する日だった。
実際に歌舞伎町のホストクラブでホストを体験するのだ。
藤田「寂しいから来てくれ」
という言葉一つでわたくしもついて行く事になった。
藤田の家で、「宅録」と称し何故かレコーディングに励む藤田とわたくしパジャマとりや。
一体誰が聴いてくれるというのか。
出発の直前まで熱唱するわたくし。もうすぐアルバムが完成するはずだった。
藤田「アルバムにして売ろうぜ!」
パジャマ「マジでか!いいな!」
録音機材は当時藤田が大枚をはたいて購入。
それらの機材は現在部屋の片隅で埃まみれである!アルバムなんぞ嘘八億だ!

パジャマ「あかん藤田、時間ぎりぎりや。行こうぜい」
間もなく出発だ。
藤田「やべぇな。」
と言いつつ、携帯電話を手にした藤田。
パジャマ「?」
大村には先程連絡したはずだ。
電車の時間も迫っているというのに、どういうつもりだ?
そうか!出版社の方に「今日よろしくお願いします」と挨拶をするのだろう。
トータルテンボスは、売れてないとは言え、今は大事な時である。
こういう細かい気配りというのはとても大切なのだ。
がさつに見えて押さえる所はしっかり押さえる。自分も見習わなくては!
わたくしパジャマとりや、彼の真摯な姿勢に改めて未来の「可能性」を感じた。
その刹那・・・
藤田「モチモチ〜」
突然赤ちゃん声で話し出したのは勿論目の前のアフロ野郎である!
何とカノージョに電話をかけているじゃないかっ!!
藤田「きょうねぇ、いまからねぇ、お仕事なんだよぅ。おりんはねぇ、がんばってるんだよ〜」
おりん?
おりんとは「俺」の事だそうだ。理解不能である。
藤田「いまからねぇ、ホストクラブで体験ホストしてくるよ。・・・・・・え、そうだよ、歌舞伎町の、・・・うん。本物の店・・・・・・・・・・・(一番甘い声で)だいじょうぶだよ〜、なに心配してんだよう〜、何も起きないよぅ。」
パジャマ「・・・・・・・・。」
目の前を暗くするこのモジャモジャには、もはや何も言い残す事は無い。
電話の向こうでは、ホストクラブでこのモジャモジャがモテるという奇跡を彼女が本気で心配しているのだ!
不毛!不毛!これを不毛と言わずして何を不毛と言うのだろう!!
あまりにも不毛な心配に手の平が痒くなってきたではないか!!
仕事で行くのだ!彼女とはもっと強い信頼関係を築きたまえ!
そして一刻も早く電話を切りたまえ!!
藤田「いま言えないよぅ、パジャマがいるんだよぅ」
今度は「愛してる」の茶番劇が始まろうとしていた。
ウザそうな目をわたくしパジャマとりやに向けながら、扉を閉める藤田。
時刻を見ると電車の発車時刻はとうに過ぎていた。

藤田憲右(29)