アルバイトで出会った人達

pajama_toriya2005-06-09

 只今一人で吉本興業本社の作業室です。
一人自分の写メを撮ってみました。
テンションも上がらず、特に面白い事はなかったです。
今日はバイトの話です。



 新宿歌舞伎町と言えば欲望渦巻く妖しい街としてあまりに有名なので説明はいらないと思います。
色んな人種がいて、色んな仕事があって、Vシネマでしか見たことないような怖い人なんかもウヨウヨいる所で、田舎から来た人は身ぐるみ剥がされるなんていうイメージの街です。
わたくしパジャマとりや、24歳ぐらいから5年程、新宿の歌舞伎町でアルバイトをしていたのであります。
何の店かというと、風俗の無料案内所です。
いかがわしさ5兆8千億点ぐらいありますが、フタを開ければイメージ通りのいかがわしい人だらけ!
仕事内容を説明しよう。
どんなお店かと言うと、高いお金を払って風俗店にエッチなサービスを求める男達に、ボッタクリにも会いかねない歌舞伎町で、安心して遊べるお店を紹介する上に割引もするというお店なのだ。
わたくし達アルバイトは、入ってきたお客さんに話しかけ、お客さんが希望するお店にご案内するという接客が主な仕事なのです。
どうしてそういうアルバイトを選んだかというと、それはわたくしパジャマとりやは何を隠そう生粋のドスケベだからである!
違う!
本当は、普通のアルバイトではなかなかシフトが組めないのです。
コンビニにしろ何にしろ、大体1ヶ月単位でシフトが決まっている。
当時は芸人だったわたくしも例に漏れず、夜中に電話がかかってきて「明日稽古やります」などと突然言われる事が日常茶飯事なのです。
この時点でアルバイトの選択肢がかなり狭くなり、シフトに融通のきく仕事しかできなくなるのです。
まっとうなアルバイトに無理に入っても店長に「君シフトに入れないからもういいよ」などと言われるのがオチなのです。
誰が見つけてきたか風俗の案内所は、そんな芸人達にとって天国の様なアルバイトだったのです。
条件は驚くモノばかりだった!
朝10:30〜23:30までの13時間
17:00で早番と遅番の入れ代わりがあるが、通しでも入れる。
時給は1100円
髪型は勿論自由。
タバコを吸う、ジュースを飲む、飯を食う、等は自分のタイミングで良い。
シフトは誰か代わりを立てればOK。しかもシフトを管理しているのがバイト君という無法地帯!
月に2回しか入らない奴もクビにならない。
社員がなかなか来ない。サボっても平気のプー!
土日祝は、絶対に社員が来ない!一日中サボっている!!
主な仕事は店の壁のチケットボックスに差してある割引チケットを0にしない事と、他の店のモノと混ぜない事。
一つのチケットボックスには50枚以上入れてあるのだ。滅多に無くならない!
その店は歌舞伎町でも一番大きな店だが、早番に4人もアルバイトがいる。やることが無い!!うひょう!!
もちろん座れる。

時給は1100円だ!労働に見合わない賃金の高さ!
仕事自体休憩しているような状態なのに、ちゃんと休憩を取るのだ。
さらにエアコンの効いた休憩室のようなカギをかけられる部屋があり、
沢山のマンガと長椅子の上にベンチコートが3枚あって「お眠りなさい」と言っているかのようである!

その店の奥には、不動産屋とコスプレ衣装屋と大きな本屋さんがある。
風俗系の本はもちろん、他ではあまり売っていないアングラ雑誌なんかも置いてあるので結構繁盛しているのだ。
わたくしパジャマとりやも、書店で見つからない本を見つけた事もあるぐらいだ。
そして、道路を挟んだ店の前には駅の売店クラスの雑誌屋がある。
なのに、なのに!
店の玄関には大変小規模な雑誌の売店コーナーがあるのだ!!
何故作ったのだ!!
スゲーと思わないか?この商売センスの無さ!
この小規模な売店は雑誌が売れない。
当たり前だ!前後に本屋があるのだ!誰が買うか!
ここにアルバイトを一人置くのだ。
売れても1日8冊程度だ。その内4冊はスポーツ新聞だ!
利益はいくらだ?人件費はいくらだ?ゲェが出る!
そして開店が1時間半早い。9:00からだ。
何故だ?何故なのだ?
社員氏いわく「売り上げが悪いから」だそうだ。
これを聞いたわたくしは脳内がぐにゃってしまった!
何も考えて無いワケではないのだ!考えた結果、今の状態だったのだ!
ゲェがほとばしる思いである。



わたくしパジャマとりや、このアルバイトは元プラスチックゴーゴー南郷伯爵という先輩芸人に誘ってもらった。
関西の人なら覚えている人いるかなぁ。
自信を持って言う。「この人こそキ○ガイである。」こんな楽なバイトをクビになったのは後にも先にも南郷さんだけ!エピソードは又の機会に紹介させていただきますよぅ。



尊敬するキ○ガイの先輩に誘われてアルバイトをする事になったのだが、風俗業界で働く人々は見ていて飽きない。
同じバイトには芸人やミュージシャン、役者なんかがいて普通なのだ。
中にはフリーターで35歳なんていうツワモノもいたんですけどね。
飽きないのは風俗店そのもので働いている店員さん達だ。
単純に言うと「お馬鹿さん」ばかりなのです。
そのインテリジェンスの低さに白目を剥き過ぎてすっかり慣れてしまいましたよわたくしは。
店に置いてある割引チケットは、風俗店が作って、大抵下っ端の店員さんが持ってくるのだ。
その太い店員A(推定28歳独身、身長180、少しブーデー)は、枚数を数えながらわたくしの前まで来た。
店員A「・・・10、11、・・・12、13っと」
パジャマ「お疲れ様です。ハンコ押しますね〜。」
割引チケットには店のハンコを押す決まりだ。お客さんがどこの案内所から来たかすぐわかる。
店員A「あ、これは全部押してあります。あれ、何枚だったかな」
再度チケットを数えようとするので、
パジャマ「13枚ですよ?今言ってたじゃないですか」
店員A「・・・・・・・本当ですかぁ?」
いきなり疑いの視線でわたくしパジャマとりやを睨む店員A。その目は本気そのもの!
店員A「・・・・11、12、13!本当だ、すごい!」
凄くねぇ!!俺は凄くねぇ!!アンタが凄いんだ!!
さらに言うA
店員A「俺数学は苦手なんですよね」
算数だっ!!決して数学では無いっ!!
「数学は」と強調するあたり、もはや引き返せないアホっぷりがうかがえる。
わたくしパジャマとりやに遊び心が生まれる。
パジャマ「大丈夫ですか?本当に13枚でしょうか?用心した方がいいですよ。何しろ間違えたら大変ですからね。」
店員A「!」
合計4回も数えてましたよ店員A氏は。ケヒョヒョヒョ。
カッターシャツにネクタイを締めて、下は黒いスラックスといういでたちなのですけど、よく見たらお腹のところだけシャツが出ているんです。
浮世を離れてお暮らしになっているわけなんですね。
他の日には、ほっぺたにケチャップが付いている時は感動しましたよ。
店に入って来るなり嬉しそうに言うんです。
パジャマ「お疲れ様です」
店員A「今日オムライスを食べてきました。」
パジャマ「へ〜そうなんですか!」
店員A「・・・・・・・はい?」
話終わりか〜い!!
どこでとか味はこうだったとか一切無いんです。
ただ食べてきた喜びを伝えたかったのでしょう。


この店員A氏は3ヶ月持ちませんでした。クビになったそうです。
今どこで何をしているんだろうなぁ。


次回も歌舞伎町のバイト話しようかな。